DDABC:化学テロの対応手順の記憶法。ABC(気道・呼吸・循環)の前にDD(解毒薬・拮抗薬の投与(Drug)と除染(Decontamination))を行うことが重要であり化学テロの診療手順はDDABCとなる。
ISAMPLE:Secondary surveyで聴取すべき情報の記憶法。Information: 情報、Symptoms: 自覚症状、Analysis, Antidote and Allergy: 分析結果、解毒剤、アレルギー歴、Meal: 最終経口摂取時間、Place: 受傷場所、Last action: いつ、何をしていたか、Event:曝露された状況のこと
NBCテロその他大量殺傷型テロ対処現地関係機関連携モデル:各関係機関がNBC・大量殺傷型テロの際にどのように対処するのか、相互の情報の伝達及び共有はどのように図るのか、役割分担・活動の連携等について、どのような枠組み・手続 きにより協議・調整するのか、各地域における関係機関の連絡先はどこか等について、 標準的な対応のあり方のモデルとして取りまとめた国の指針
PAPR:電動ファン付き呼吸用保護具。レベルCとして多く商品化されている。Powered Air-Purifying Respiratorの略。
PSPS:拮抗剤で治療可能なシアン、神経剤の症状を把握するための合い言葉。P:縮瞳、S:鼻汁などの分泌亢進、P;肺・呼吸、S:皮膚・筋の症状。
Primary survey (PS):生理学的危機を探知し蘇生しバイタルサインの安定化をめざす。化学テロ災害患者特有の病態CN-N(CN:シアン、N:神経剤)を認知し適切な蘇生と拮抗薬投与を行うことを含む。
Secondary survey (SS):曝露原因物質の推定を進めながら発災状況把握と詳細な身体観察・検査から原因別の処置を行う。
ウオームゾーン:劇毒物の発生源ではないが、患者に付着した劇毒物により汚染する可能性のあるエリア。除染はウオームゾーンで行われるため、除染エリアとも呼ばれる。
乾的除染:脱衣と清拭により除染する方法
吸収缶:有毒ガス及び混在する粒子状物質を除去するもの。缶状のフィルターは吸収缶と呼ばれる。有機ガス用、ハロゲンガス用、アンモニア用、亜硫酸ガス用、一酸化炭素用の5種類は、国家検定がある。粒子状物質も除去する場合は、防じん機能を有する吸収缶を使用する。
ゲートコントロール:入院外来患者や病院職員を汚染から守るために、敷地の入り口や建物の入り口にで汚染の可能性のある患者を識別する活動。具体的には、警備員や病院職員を病院敷地の出入口(門)や建物の出入口(玄関)に配置し、災害現場付近から来院する汚染の可能性のある患者をいち早く発見し、病院建物内への侵入を防止し、待機場所や脱衣場所へ誘導する活動。
個人防護具(Personal Protective Equipment; PPE):危険物は主に気道・呼吸器と皮膚や粘膜(眼)を通して体内に吸収されるため、防護の対象は主に呼吸と皮膚・粘膜であり、それぞれ呼吸用保護具と防護服を用いる。呼吸用保護具、防護服、手袋、長靴などの備品を合わせて防護具という。個人が身につけて安全を確保する装備を個人防護具(personal protectiveequipment;PPE)という。
コールドゾーン:劇毒物により汚染のないエリア。診療を行うので診療エリアとも呼ばれる。
災害対策本部:災害時に指揮命令・統制の役割を行う本部。外来や手術の中止の判断や外部(消防・警察・他医療機関・保健所・自治体等と連携をとる役割がある。平時は防災委員会として機能する。
サーベイ:数人の患者に対して症状(トキシドローム)から原因物質を推定する行為をサーベイ(SURVEY)という。放射線検知器が使用可能あれば放射線測定を実施して早期に放射線(R、N)の関与を判断する。
除染:汚染物質の除去し患者と救援者の被害を軽減する行為。乾的除染と水除染に分けられる。
ゾーニング:汚染度や危険性に応じて区画にわけること。各エリアでは指定されたレベルの防護を行う。スタッフや資器材のエリア間の移動の際には、除染が必要となる。
トリアージ:患者の重症度、緊急度を判断すること。
トキシドローム:中毒物質では特定の症状が出現する。症状の組み合わせと原因物質の関連をトキシドロームという。症状の組み合わせより原因物質が類推できる。
動線:人(患者・スタッフ)が動く時に通ると思われる経路を線であらわしたものを動線という。
防護:原因物質を遮蔽して健康被害を防止することを防護という。主に気道・呼吸器、皮膚、粘膜(口腔、眼)を通して吸収されることが多いので、防護は気道・呼吸器、皮膚、顔面(特に眼)に分けられる。
防護レベル:レベルA防護とは、全身化学防護服を着装し、自給式空気呼吸器にて呼吸保護ができる防護レベル、レベルB防護とは、防護服を着装し、自給式空気呼吸器又は酸素呼吸器にて呼吸保護ができる防護レベル、レベルC防護とは、防護服を着装し、防毒マスク(吸収缶)にて呼吸保護ができる防護レベル、レベルD防護措置とは、化学剤・生物剤に対して防護する服を着装しておらず、活動する必要最低限の防護レベルである。
放射線測定:GM 管式サーベイメータを用いた放射線体表面汚染検査。
防毒マスク:防毒マスクは、環境に存在する有毒ガス及び混在する粒子状物質を除去し、吸入する空気を浄化するもの。面体と吸収缶から構成される。
水除染:水を用いた除染法。ペットボトルの水や水道で局所を洗う行為も水除水に含める。
面体:顔面を覆うお面状の防護具を面体という。
レベルC:呼吸器系統に対しては全面型マスクを装着し、吸収缶で吸気の安全を確保する「ろ過式呼吸用保護具」の防毒マスクが用いられる。酸素欠乏環境ではなく、原因物質が同定され、吸収缶が原因物質に適合していることが使用の前提となる。医療機関における化学剤の対応において、通常患者に付着する原因化学物質の濃度は低く、環境濃度が許容範囲内であることが想定されるため、レベルCが標準となっている。多くの種類のものが商品化されており、電動ファン付き呼吸用保護具(Powered Air-Purifying Respirator;PAPR)が装備されているものもある。
レベルD(+):気道、呼吸、顔面粘膜はレベルCと同等であるが、皮膚に対してはCよりは一段低いレベルで良い程度の危険性。化学防護用の面体・マスクと病院内で通常使用する標準予防策(長袖の手術着やガウン、エプロンを想定)。本研究班が新たに提案したカテゴリーである。
レベルD:大気中に有害物質がなく、有害な化学物質との接触や、予見不可能な化学物質による人体への危険性が排除されており、最小限の皮膚の保護を必要とする程度の危険性。呼吸器系は防塵マスク又はN95マスクと病院内で通常使用する標準予防策(ゴーグルやフェイスシールド、長袖の手術着やガウン、エプロンを想定)
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参考文献
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- Occupational Safety and Health Administration. Best Practices for Hospital-Based First Receivers of Victims from Mass Casualty Incidents Involving the Release of Hazardous Substances. Occupational Safety and Health Administration. 3249-08N. 2005. https://www.osha.gov/Publications/osha3249.pdf (Accessed on June 1st, 2019.)
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- Chemical Hazards Emergency Medical Management:CHEMM Toxidrome Cards
- NIH CHEMM Toxidrome cards https://chemm.nlm.nih.gov/toxidrome_cards.htm (Accessed on September 9th, 2018)
- 小山 洋史ら.クロルピクリン集団災害における危機管理 (特集 集団中毒に対する危機管理体制–第30回日本中毒学会シンポジウム).中毒研究. 2009; 22, 25-31.
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